鋼の錬金術師 #20

弟アルフォンスと同様、鎧に身を移されて生き続ける死刑囚兄弟。自らをモノであると言い、真剣の戦いに負けた身に生きる資格はないと、破壊されることを望む。印を壊すだけで霧散する命、彼らがモノではなく人間であれば、それは殺人に他ならない。モノであればただ、壊れるだけだが、しかし、エドワードは彼らがモノであることを認めたくは無い。彼らをモノであると扱ったらアルフォンスもまたモノとなってしまう。
兄はさらにエドワードの心に迷いを植え付ける。かつて生きていた人間と今目の前にある鎧が同一の人間であるなどと、誰が証明するのか。入れ替わった他者かもしれないし、弟だと思い込んでいるから自分の弟であるように見えるだけかもしれない、もしかすると自らの記憶そのものが、弟が居たものと思い込みたい自分の幻想かもしれない。