国産航空機


海自救難飛行艇の改造機、メーカーが輸出検討
 海上自衛隊の次期救難飛行艇US1A改を、航空機メーカーが消防飛行艇などに改造して輸出しようとしている。すでに海外から引き合いがきており、実現すれば、自衛隊機と同じ国産機が海外で初めて利用されることになる。海自のUS1Aは70年代に国会で「軍用機」にあたるかどうかをめぐり論議になった経緯がある。このため輸出を自粛してきたが、政府の武器輸出3原則見直しの動きを受けて、積極的に売り込みを始めた。
対戦哨戒機PS-1から救難飛行艇US-1、US-1Aと来て、現在テストが続くUS-1A改、海上自衛隊呼称XUS-2。いやしかし、テストにずいぶん時間がかかってますな。
この機体が消防飛行艇の可能性も検討されてたことをはじめて知ったのです。消防飛行艇というとカナダのボンバルディアだが、あんまり知名度は高くない。他に大型飛行艇はロシアや中国も作ってるはずだが、US-1とは根本的な運用ルールが全く違う。カナダやロシアは大きな波の立たない湖沼や比較的安定した内海での離着水を前提としてるが、US-1は外海での運用を考慮して作られている。
ちなみに機体で浮力を得るものを飛行艇、機体ではなくフロートで浮力を得るものを水上機と呼んで分ける。後者はほぼ通常の航空機にフロートを追加したスタイルをとるが、前者は機体本体が航空機というより船に近いものになる。いずれも、飛行時に使われることの無いフロート・船底部が足をひっぱり、飛行性能は通常の航空機より落ちる。
湖沼での運用ならばそのまま着水して水を汲み、山火事の現場に直行し空から消火にあたるという利用ができるのだが、海水でやってもいいものなのだろうか。飛行艇の利用できる湖沼が少ない日本で消防飛行艇を運用はできないだろうと思ってたから、消防飛行艇という用途は考えて無かったよ。
飛行艇は管理が大変なわりに運用するメリットが薄く、国際市場でもそんなに需要の大きいものではないために、本格的に開発してるところは少ない。ほぼボンバルディアの独占状態だった市場に、持っている高性能機を売り込もうということに。むしろ今まで海外に売らなかったことのほうがおかしい話である。なにしろ、これなら競合しないためにアメリカからの横槍が入らない。
確かに対戦哨戒機として開発された経緯はあるが、今は救難機で、通常の航空機である。船で移送できない状況の中、離島からの病人などを運ぶ任務をこなしている。これが軍用機とみなされることの方が不思議。嫌な話すれば、トラックも乗用車も軍用に転用できちゃうのですが。とりあえずカナダの販売実績からすると、年数台から十数台程度の需要は見込めそう。さすがに旅客機にするのは難しいか。