同人誌図書館

2chコミケスレが活発になったり専用スレが出来たりってのは、アピール*1でなにかあったのかな。スタッフでもないしサークル参加じゃないのでよく知りません。
準備会の方向性としては、9月の文書(http://current.ndl.go.jp/ca1672)を踏襲しているだろうと思う。準備会が文字通り抱え込んでる今の状況が書かれているので、あちらの議論に参加するつもりの人は、必ず目を通しておくように。

状況把握

とりあえず、コミケの見本誌図書館構想と、明治大学米澤嘉博記念図書館(仮称)とは別のもの。明治大学に寄贈されることになってるもの自体は漫画評論家でもある米澤氏個人の収集物で、様様なマンガ資料に同人誌も含まれている(内訳は知らない)という程度。その一部(?)を大学で管理し保管整理していくというもの。
とはいえ、資料として集められるのならば、ある程度集約したほうがいいだろうということで、他が追従するのもありだろうし、大学側が収集の為に働きかけるのもいいだろう。
準備会側では、記念館での運用を見た上で貸与したり、そこに合流する可能性も用意しているというところで、話題にするにはちょっとややこしくなっている。更にコミック1まで絡んでたり。どう動くかは来年春だという開館以降に。
同人誌を扱いたい、扱えるというところが他に出てこない限りは流れは変わらないだろう。

図書館ってナニもの

議論が混乱する原因の一つは、『図書館』でイメージするものが人によって違っているところ。嫌がって批判してる人のかなりの部分が想定してるであろう『図書館』は、誰でも通りすがりにふらっと入ることができ。本棚に並べられた本を手に取ってすぐに開くことが出来る、そんなものだと思う。
『図書館』のくくりには、オープンな公立の図書館だけでなく、各種施設の付属図書室、私設の図書館や文庫があり、大学図書館にも総合図書館やら学部図書館、大から小まで様様ある。その中には誰でも入れるものだけでなく、利用料をとるもの、学生や研究者向けなどで入館や利用に制限がかけられてるものや紹介状が必要なものなど色々。閉鎖的な図書館は博物館の地下倉庫みたいな、外の人間は近づくどころか存在が見えないぐらいにひっそり。ちゃんとした説明は図書館に詳しい人がフォローアップするだろうと期待。
明治大学が米澤記念館をどう運営していくかの具体的な部分が出て来てないので、なんともかんとも。扱うものが貴重品になっていることが多いので、かなり制限がかけられる方向になって、たとえ一般向けのスペースが設けられてもそれは図書館と言うよりミニ博物館というか資料館、となるのは個人的な希望的観測。少なくとも、いつぞやの漫画喫茶な同人文庫(同人誌の寄贈とか募って開いたがあっという間に消えた)みたいなモノにはならないと思う。
準備会側も図書館ではなくて、資料館という名前でアピールするようにしたほうがいい。図書館に反対している人たちも、民俗・風俗資料として『収蔵』されることには反対しないと思うんだけど。一番大きな問題は不特定多数の閲覧なんだから。基本的に出版物という扱いなのでコミケでは『図書館』と呼びたいんだろう。
あとは著作権・肖像権と不適切な表現の問題かな。そこを踏まえて取り扱う覚悟があるところとなるとなかなか。

積読だけではゴミの山

チェックには時間がかかるから回収という理屈で動いて、集めたものを捨てるわけにはいかないから保管して、積み上げただけではただの極潰しだからせめて後世の為に管理する。
見本誌収集という行為は運営のためのものであったけど、結果として時間をかけて蓄積されたソレは資料であるということ。失われたら二度と取り戻せない。
準備会そのものはただひたすらコミケを開くためだけに行動してるのだけど、その行為は結果として文化活動になる。必然的に準備会自身も、その性質を変えていく。

いくつかの参考図書

//www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4883791920/bebebe-22/ref=nosim/">コミックマーケット30’sファイル([[ISBN:4883791920]]):コミケットスペシャル4で出たコミックマーケット30周年記念誌。どうしても「今」だけを見てしまう準備会による30年間の開催記録集で、参加データやアンケート等の集計分析等もある。コミケの中の変遷が分かるため、コミケ周りの真面目な議論をするときは資料として手元に置いておきたい。
//www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4883790894/bebebe-22/ref=nosim/">コミケット叢書 マンガと著作権―パロディと引用と同人誌と([[ISBN:4883790894]]):未見。2000年に準備会が2回行った著作権シンポジウムの記録。
//www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4840118027/bebebe-22/ref=nosim/">売れるマンガ、記憶に残るマンガ([[ISBN:9784840118026]]):2006年に死去した米澤嘉博コミックフラッパーに連載していたコラムの再録本。節々でコミケや同人誌を取り巻く状況について触れている。
//www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4765900495/bebebe-22/ref=nosim/">同人誌バカ一代 イワえもんが残したもの([[ISBN:4765900495]]):2004年に死去した岩田次夫が各所に残した文章の再録本。90年代後半に書かれたものばかりだが、同人誌の歴史を俯瞰できる。氏が蒐集した5万冊の同人誌が今後どう扱われてるかがちょっと気になる。