涼宮ハルヒの憂鬱 涼宮ハルヒの溜息V

ハルヒは脳内に描いた空想世界を形にするという遊びを全力で楽しみ尽くし、映画の撮影を終わらせることが出来た。
残る編集作業はすべてキョンの仕事。完成形が分からないから映像が全部ないと作業できない繋がらない。順撮りだけど、そこは素人。
キョンに許されたのは文化祭当日までのわずか一晩、泊り込み徹夜の編集作業。完成させようと言ったキョンに付き合いハルヒは見守る。
編集作業にスペシャルエフェクト、時間はあまりにも足りなくて、体力尽きて中途で、間に合うはずもない映画。でもそんな困難は寝ているうちに解決した、ハルヒが完成を願っているから。
監督による、映画の結末。この映画はすべてフィクションである、そうハルヒに宣言させることで映画を閉める。ハルヒが生み出したフィクション世界を閉じる。それが事態を収めるためのアイデア、空想を現実にしないためにキョンがねじ込んだ提案。
学園祭全てが終わって迎える平穏な世界。それまでと何も変わることの無い、いつもの町のいつもの喫茶店ハルヒキョンふたりきりはどうみてもデートです。どうやってハルヒがこれを願ったか、キョンにねじ込んだかはてさて。
これがハルヒが現実を認識しないからこそ保たれる状態なのだとすれば、この異常を異常でなくすためにはハルヒに現実を知らせればいい。それで変化が訪れるのだと古泉が言っていたのだから。
行動して得た満足と見えている現実への不満を現すハルヒに対して沸いた悪戯心。ハルヒの求めた超能力者や未来人や異次元人。それは既に身近にいるのだと明かしてみる。
でもそんなことをハルヒが信じることは無い。だってそんなものは空想の産物でしかなく、あたりまえに目の前にあるはずはないという現実を知っているから。
そんな安易なオチに納得するつもりはない。ハルヒが現実の現実を認識することはない。
お怒りのハルヒさんを見て、キョンは杞憂が杞憂で終わったことにほっとしたり嘆いたり。