夢色パティシエール #7

1から作り直したらケーキは間に合わない。勝利を確信しつつも丁寧に移動手段も奪っておく念の入れよう。
きちんと周りへ言い含め、講師や他の生徒たちに対しては、いちごの責任という形に仕上げることで敵を作らずに済ませられるようになってる。
とはいえそんな仕掛けが、一緒にケーキを作っていた王子たちに分からないわけはない。実のところ、貶めたいのは飛び入りの特別扱いで王子たちと同じグループに入ったいちごではなく、王子たち全員。
Bグループの彼女たちのケーキは、王子たちと一緒に作ったものよりも上等の出来。ケーキの出来に王子たちは興味も見せず、食べてみたいちごだけが気付いた。
人気を集める王子たちではなく、自分こそが学園のトップであるのに、扱いが伴わない。でもそのことを声高に叫ぶような事はせず、評価の差を静かに受け止めている。