氷菓 #7 正体見たり

夏休み、チタンダさんご希望の温泉旅行。古典部の合宿として、マヤカの親戚がやっている民宿のお泊まり。騒がしい連中と一緒なのがホウタロウにはしんどいが、普段と違うのんびりとした場所がいやなわけではない。ホウタロウひとりなら実現するはずのない、チタンダとマヤカの連携でできた旅行。
ホウタロウが部屋から出てくるのを、隣の部屋で待っていたのよチタンダさん。部屋でだらだら過ごしたホウタロウとタイミングが合うなんてことはない。マヤカが子供たちにとられて一人にされたから、急かされることもなくじっと待った。偶然を装って一緒に温泉に行くのです。ホウタロウの部屋に押しかけたり、行こうと誘うことはしない。
せっかくの温泉回だが、画面に映るのは男風呂ばかり。温泉に一緒に入っているはずのチタンダを妄想するだけで、ホウタロウはすっかり出来上がっちゃった。熱が上がって湯あたりダウン。
大丈夫だったチームが夏のお楽しみとしてやった怪談、披露されるのはこの民宿にある呪いの怪談話。
その夜ふかく、寝ている間にマヤカが見てしまった、怪談話を再現するかのような遠くの影。当然チタンダは興味深々、なぜなら自分もおなじ影を見てしまったから。自分から披露するほどではないし、幽霊におびえるわけではない。
チタンダは幽霊を信じているわけではないし、当然否定するであろうとホウタロウに話を振る。幽霊でないなら何かある、見たものには謎がある。きっとホウタロウがその謎を解き明かしてくれると期待をこめて。ホウタロウはチタンダのキラキラには逆らえない。見間違いだというのなら、それを証明すればいいのだとマヤカに押され、仕方なく働く。
サトシは惰眠に温泉、マヤカは子供の相手。だから二人きりで謎を解く。証拠を探す。チタンダはどこまでもホウタロウについてくる。ホウタロウが見るものすべてを一緒に見て、ホウタロウが推論を組み立てる過程を観察する。
温泉に入るときにも、一緒に出る約束をしてくるチタンダ。一緒にいられる時間ぜんぶ、一瞬たりとも離れない。なにせ、前日の温泉ではホウタロウが倒れて置いてけぼりを食らったから。
首吊りの現場を確認はできなかったが、集めた状況証拠でホウタロウは推理を固めた。その内容から、明かす相手はチタンダだけにしておく。余計なことはしたくない、面倒ごとにはしたくないから。
主張と独占欲の強い姉、リエ自慢の新しい浴衣。頼んでも無理だろうと、妹カヨはこっそり借りて着て、祭りに行った。その間、姉は怪談話に参加していたので隠しておけるはずだったが、雨に降られた。乾かして夜の間にこっそり返せばいいからと窓を開けて風を通してなんとか隠し切ったはずだった。それが明かされると、調べているホウタロウたちにおびえて妹はびくびくしていた。その態度を隠せるほど大人じゃなかった。
姉妹というものは信頼しあい、仲がいいものであってほしい。貸し借りもできないような関係などではないはず。それがホウタロウの説に納得できず食って掛かった理由。
チタンダが夢に見る理想的な姉妹のありかた。そんなものは存在しない、幽霊のようなもの。そんなにいいものではないとホウタロウは経験から知っている。だけど、そんな一面がないこともないと、妹を助ける姉の様子にホウタロウは一歩譲歩。チタンダの笑顔が見れるなら、自説を曲げても許される。