ブルマー

近所の図書館にブルマーの社会史(ISBN:4787232428)が入ってることが分かったので、さくっっと見てきた。
ブルマーハァハァとかいって雑念を持って見るとガッカリすること請け合い。ジェンダー・女性論として並べられていたあたり。その前半は女性の学校体育史の流れを説明しながら、その中で変わってゆく運動服のうちの下半身を覆うパーツについての解説。女子体育教育の服飾史というべきか。
明治に入ったばかりのころまでの感覚では、市井においては上半身はともかく、腰から足全体を含む下半身の露出を嫌う傾向。そもそも、人前で運動をするということ自体がなかったところから、袴で体育をするようになり、動きやすさを求め丈を次第に短くし、足を露出することが一般化してゆく。日本女性の服飾の変化と恥の意識変化。あぃまぃみぃストロベリーエッグは意外にバカにできないと改めて思った次第。
社会的には、強くなる女性に対する反感を受けながら、同時に女生徒の間でスポーツのできる女性がアイドル化し、同性愛的な傾向も生まれることになったという。とりあえずマリみてファンはp127からp129あたりを読んでおくこと。
あとは戦後、1960年代あたりで実際にブルマー等を使っていた層へのアンケート調査。ブルマーの分類と各々のタイプの時系列で普及傾向、当の女性からのイメージ等。メーカーには残されている資料が少なすぎて実体がつかみにくいのが現実。
最終章はブルマー廃止に至る流れの解説。ブルマーを強制することが問題としていたのに、別の衣装を強制するということになって、騒ぎの発端の理由のひとつが完全に忘れ去られたところで話が動くことになった。そういえばそんなこともあったとすっかり忘れてた。
むしろブルマ話よりも、その前史の方がおもしろかった一冊。次はぜひ、この切り口でスクール水着の歴史を。