コードギアス 反逆のルルーシュR2

#24 ダモクレスの空

戦場を荒らすフレイアの砲撃。多くの人の命がボタン一つで消えていくことを苦しみとして捕らえるナナリー。それでも、やると決めたことだからやめることはしない。自分がやらなければ罪を負うことが出来ない。デモクレスの鍵を預かり、シュナイゼルの指示どおりにボタンを押しつづける。
近づくものを拒む浮遊要塞の絶対防衛圏。フレイアの使えない距離に近づくことは出来ても、要塞を傷つけることも、フレイアを止めることも出来ない。
シュナイゼルは黒の騎士団に多くは期待していない、ルルーシュを押しこむことができないなら役には立たない。兵力、軍事力はいくらでも使い捨てることが出来る、ただ盤上に置かれた駒に過ぎない。
ユーフェミアに押し付けた罪、ユーフェミアを死に追いやった罪。それは自分のものだから自分がやらねばならない。ルルーシュは自ら行動する。相手がたとえナナリーであっても。
ユーフェミアの仇で、たとえ許せない存在でも、それがユーフェミアの夢をかなえるためになるのなら、自分の願いをかなえるのなら利用する。ニーナは恨む相手と手を組んだ。それが自分に出来る贖罪だから、最後の発明を託した。
ルルーシュのための楯となり、CCはカレンを押し留める。
フレイアは周囲の環境組成を変化させる。それを中和させる対抗装置。その動作を止められるわずかな時間を使い、膨大な環境情報を入力し確実に作動させる能力を持つ存在。実証されていないただ理論でしかない手段でも、頼らねばならかなった、賭けなければならなかった。それでもルルーシュはスザクとともに成功した。
フレイアを打ち出すために明けたバリアーの穴はダモクレスへの侵入口となる。内部への侵入を許したその次の、シュナイゼルの一手。衛星軌道に上がるダモクレスを脱出不可能なルルーシュの檻、棺とする。シュナイゼルは脱出し、ダモクレスのバリアーの中でフレイアを作動させる。そこに残されるナナリーなど、消えてどうということもない、これもまた使い捨ての駒に過ぎない。
だがルルーシュにとってはシュナイゼルが逃げることも、予測の範囲内。勝利することではなく、ただ負けないよう手を打つのがシュナイゼルのやり方。勝利への欲が無いから逃げることも辞さない。
皇帝は昨日を残し変化のない世界を作ろうとした、シュナイゼルは今日の恐怖で世界を止めようとした。だが、ルルーシュが手に入れたいのは明日。苦しい今を逃れ、夢を叶えられると信じられる未来。
それが欲だとしても、幸せを求めようとする心が世界を前進させる。不幸を逃れようと未来に希望をもち、幸せになろうと今に抗う。だからシュナイゼルが作る世界にはしない。
録画映像を使い、シュナイゼルを罠に嵌めたルル。殺しに来るルルーシュから逃れればいいと考えていたシュナイゼルの落とし穴。自らに従うようにというギアス。人に命令される、それこそがシュナイゼルにのっての望んでいた道だった。
シュナイゼルを従えダモクレスを手に入れたルルーシュ。残るダモクレスの鍵を手にするため、ナナリーと対面する。シュナイゼルはちゃんと本物を渡してた。
ルルーシュの前で皇帝にかけられたギアスを破って見せる、ナナリーの強い意志。兄を救いたいという心でその束縛を破り、閉じられた瞳を開き兄を睨む。

#25(最終回) Re:

火山を噴火させた影響は大きく、町には灰が降り積もる。
兄が人殺しならそれを止められるのは自分だけ。兄が犯した罪を、自らが負う。だからフレイアのスイッチ、ダモクレスの鍵を手にし、虐殺者となった。
ギアスの力は意志の力で跳ね除けることが出来ると示し、ギアスの力には屈しないという強い意志でルルーシュを威圧する。
ナナリーの抵抗を見るまで、ルルーシュはギアスを使うことを考えてなかった。全てはギアスの力ではナナリーを救えないからこそ始めたことだった。それが今、ギアスを使えるようになった。
ナナリーにとっては、ただ、兄と一緒のささやかな暮らしがあればよかった。でも、ルルーシュは隠れて怯えて生きる生活など認めたくなかった、そんなものは生きてるとは言えない。ナナリーの意志ではなくとも、それがナナリーのためになると信じ、動かざるをえなかったルルーシュの思い。
ダモクレスを使い、フレイアを使うのは、これを憎しみの頂点とするため。人々の憎しみが一つに集まれば、人の意志はひとつになれる。ナナリーの考えを聞き、目指していたものを理解したルルーシュは、ギアスを使うことをためらわない。ナナリーの狙いが、自らのものと同じであることを知ったから。
ギアスの力に頑迷に抗いながらも、それでも堪え切れずナナリーは敗北してしまう。兄のための意志は兄への想いに負けた。

仕えるもののために。守るもののために、約束と使命と正義と、おのおのが背負っているもののために。それぞれの意志で戦うことをやめない人々。
ただ、楽しく過ごせる場所を、安心して生きられる場所が欲しいから。思い通りにならない世界のなかで生きるために。
争ってしまうのは、欲しいもののために人が人の意志で、人の力でぶつかりあうから。
幸せになりたいと夢を持ち、不幸に抗って、思い通りにならない世界を変えようと、他人の意志を潰し不幸にする。
ギアスという人ならぬ力でその意志を捻じ曲げることは許されることではないと。

ナナリーを失ったと絶望し、父たちを葬った世界でスザクに約束した。その目標に邁進するために、生きていたナナリーとは離れなければならない。逃げることは自分自身が許さない。
車椅子から転げたナナリーを助けることもしない。もうナナリーはひとりでも生きていける。自分が助けなくても、自身の力と意志で生きていける。だから徹底的に突き放す。訣別を受け入れられるように。
ルルーシュが手にしたフレイア。シュナイゼルも従い。黒の騎士団に逆転の目は消え、世界はルルーシュを支配の頂点とする。その名を持って全世界に向かって命じる。自らに従うことを。
ルルに反逆を成したものには死を。処刑に引きずり出されるナナリー。ロイドたちはルルーシュのやろうとしていることを予測した上で、抵抗しわざわざ捕らえられた。

全ての人類を支配し、世界から憎まれる皇帝ルルーシュ。世界がルルーシュの行動を見ている中に現れるゼロ。公衆の見守る中での暗殺劇。ルルーシュがただひとりの友人スザクに頼んだ自らの死。
ルルーシュはゼロではない。ゼロは誰でもなく、誰もがゼロである。ゼロの伝説を利用し、名も無きゼロという英雄が、世界を救う救世主となる。全ての憎しみを一人で引き受け、死んでいく。
かつてゼロの元に集った者たちと、ゼロに従うよう命ぜられたシュナイゼル。世界はゼロのためにまとまり、仲間として過ごすことが出来る。それがルルーシュの作り上げたゼロレクイエム。
人を殺すものは殺されなくてはならない。自らが犯した罪を自らの命で負うという覚悟。それは他人に任せられなかった。
ゼロになったスザク。スザクの名を捨て正義の仮面を被っていきつづける、親友を殺したというただ一つの罪への罰をスザクに与える、ギアスという名の願い。大切な人たちに、ただ、生きて欲しい。
世界を敵に回し世界を守る。親友に世界を託し、ナナリーに見守られての死。
ルルーシュの意図を理解した者達が蜂起し、ジェレミアが対応する。嘘で隠された真実を知っても、その嘘を通す。ルルーシュが命をかけて作り上げた世界を守る。
今も、これからも、敵はただひとつ。決して問題がなくなったわけではなく、永遠かどうかは分からなくとも、しばしは平和が訪れる。支配しようとする悪の意志を乗り越えた人たちが連携する。
オレンジさんがみかん農家に。
死で物語を締めくくる作品は駄作。それは涙を誘い感動に仕上げるためだけの安易な展開だから。マトモなストーリーを作れない証拠でしかない。死へ向かって話を積み上げたのであっても、それを覆す物語を期待しているのに。
それでも、良かったと思えてしまう作品もあるから仕方ない。死を利用しても盛り上げられなかった作品が今期はあったけど。